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白い霧【2】

創作性転換小説です。
高校生同士のカプものです。多分R18になると思います。

突然声をかけられてつい固まってしまったが、思い切ってそちらを振り返ったとたん、緊張の糸がふつりと切れた。
隣の家に住んでいるクラスメイトの十束尊《とつかみこと》の顔を認めたからだ。
十束は高校生にしては大柄で、腕も太く、とにかくたくましい体つきをしている。そのくせ髪は女の子みたいに長くのばしているものだから、初対面の人からは胡散臭い人物に思われたりもする。
けれど僕は小五のときに出会ってから一度も、十束を警戒したことがない。
彼は大人のように体格がよいが、飼い慣らされた犬のような人懐っこい笑みをいつも浮かべている。豪胆な見た目に反して、雰囲気がどことなく柔らかいのだ。
また、「外見なんかで人を判断してはいけない」というのが幼い頃からの僕の信条だったため、僕は十束と気軽に交流をしていた。
ちなみに他のクラスメイトからは、「あんな怖そうな奴とよく話ができるな」と感心されているが、それは偏見に類するものだと思う。
小さく笑み返しながら、彼の浅黒い顔を眺めていたところ、十束があきれたような口調で言った。
「おまえ、女の子になったんだからこんなとこで立ち読みなんかしてちゃ駄目だろ。親御さんだって心配してるはずだ」
「大丈夫。うちには今、両親いないから」
──そうなのだ。
うちの両親はモンスター駆除を専門に活動する免許持ちのハンターで、今日は夜勤に出かけているのだ。

美咲乃は霧の街としても有名だが、その霧には「動物を凶暴化させる」という困った成分が含まれているらしい。人間にとっては無害であるが、負の感情を強めた動物が霧に触れると、ヒトを襲う害獣と化すそうだ。
実際にその現象を目撃した経験がないので伝聞でしか知らないけれど、さしあたって、そういう事件がときどき発生しているらしい。
だから、十束が僕の心配をするのは、理にかなっていることなのだ……。

「帰ろう。俺が送っていくから。その本ならうちにあるし、ここで読むこともないだろう?」

「……うん。そうだね」
言って、僕たちはアメリカンドッグを一本ずつ購入して店を出た。
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#一次創作
#性転換小説

小説

「ベルナのしっぽ」を読んだ。
最後のほう、ベルナちゃんが虹の橋を渡ろうとする場面で泣いた……。
難しい言い回しはほとんどないけれど、だからこそストレートに心に響いた。
いい作品です。

#読書メモ

日記